J (ジェイ)の物語」

第一部
6.夜を漂う

 背中をドアに預けた。

――俺を好きだと言った?

 蓮の方こそ混乱した。でも目の前のジェイはしっかりと蓮の目を見つめていた。後ろ手にドアを開ける。ジェイは自分から先に部屋に入った。遅れて蓮が入り鍵をかける。向うを向いたまま動かずにいるジェイを後ろから抱きしめた。大きくビクリと体が震え、ジェイは目を閉じた。

 夢に見たもの。それが今、現実になっている。怖さと期待と。怯えと高揚感と。部屋に自分の鼓動が大きく響いているような気がする。蓮の手にその音が伝わっているような気がする……

「れ……」

 掠れる自分の声が遠かった。首筋を蓮の唇が下りていく。もう何も考えられない…… ただ身を預けた。上がって来た蓮の口が耳元に囁く。

「シャワーを浴びよう」

 一人では立っていられないほどにガクガク震えはじめるジェイの着ている物を脱がせていった。肩に掴まらせ、目を離さないまま自分も脱いでいく。
 互いに一糸まとわぬ姿になり蓮はジェイを抱きしめた。
「歩けないか? 連れてってやる。一緒に浴びよう」

 シャワーの温度が上がるまで震えるジェイの体を包んだ。分かっている、寒さから来る震えではないことを。女性とさえつき合ったことの無いジェイが、なんの抵抗もなく自分に抱かれるわけがない。蓮は焦るつもりは無かった。

 湯に当たり、少しずつジェイの気持ちが解れ始めた。いいか悪いかなんて、そんなことは欠片も頭に過らない。ただ、持ったことの無い自分の感情に圧倒されていた。

 こんな風に人を思ったことが無い。まして体の欲求がこれほどまでに自我を失わせるものだと思ってもいなかった。体を這いまわる蓮の手が心地いい。泡立てた手が首から背中から胸から腹から走り回る。小さい時、母が体を洗ってくれていたように。

 蓮の手がピタリと止まった。
「俺に体を預けるんだ。いいな? 何も考えずにいろ」
蓮の手が緩やかに勃っていた自分の中心を包み込む。
 は  あぁ  や……

 何度か泡で滑りのいい手が上下した。その手が後ろまで回り丁寧に洗っていく。頭を蓮の肩にもたれさせて、ジェイはひたすら息を継いだ。
 欲しかった感覚。夢精ではない、誰かの手が直に自分を触り動いてくれる感触。自慰とも比較にならないほどの快感の波。いつでもイきそうなのに刺激が強くないからただ先延ばしされ、その苦しさが余計に気持ちを追い上げていく。

 頭からシャワーを浴びせられ、バスタオルで包まれて自分の息が荒いことに気づいた。

「ベッドまで行けるか?」

 コクンと頷いて先にバスルームから出た。

 

 ベッドが二つ。どっちに? そんなどうでもいい疑問にしがみついた。何も考えられないし、考えたくない。どっちを選べばいいのか分からない。
 突っ立っているところに蓮が出て来た。ジェイの様子を見て、口元に笑みが零れる。

(今日は自分は後回しだ。こいつを満たしてやりたい)

「ジェイ」

 まるで夢を見ているような顔でジェイが振り向いた。
「ジェイ、愛してる。どうしてそうなったか聞くな。俺にも分からない」

 手を伸ばす。顎から頬へとゆっくり手のひらを広げた。その手にジェイが頭を預ける。斜めに傾いていくジェイの顔が幼く見えた。目は閉じない、ただじっと蓮の目を見ている。親指でそっと唇をなぞる。小さく開いた口から熱い吐息が漏れてくる。

「何もかも初めてか?」

 手のひらの上で顔が揺れた。次の瞬間、蓮はジェイを引き寄せた。茶色の巻き毛の中に指を埋める。髪にキスをする。

「大事にする。お前のことを」

 少し屈んで口付ける。そっと優しく。唇を啄むように。その唇が少しずつ塩辛くなっていく。涙を口に感じた。

「ジェイ?」
「大事に? 俺を?」
「ああ、そうだよ。お前を大事にする」
「蓮を……見てていい?」
「いいよ、目を開けていられるなら」

 もろく傷つきやすい心。外側だけ否応なく大人になってしまったジェイ。

「俺の前ならお前は自分の好きなようにしていいんだ」

 ベッドに導いた。縁に座るジェイの体をゆっくり倒していく。自分を見つめているジェイの目を意識しながらその顔に覆いかぶさった。若い弾力のある唇が自分の口づけに応えつつあった。舌をなぶる、優しく。吸う、頬の内側、上顎、喉のそば。舌で全てを撫でていく。必死に息を吸うジェイの鼻から小さな声が漏れる。口から離れて耳の後ろに口を這わせた。

 ぁ や……

あの夜と同じ。ここが弱い。何度も往復するたびに体にさざ波が走る。首筋へと下りていく。びくんびくんと体が撥ねる。

 も、ああ そ、こ  ぃや……

「本当にいやか?」

 そのまま首を這いまわり口へと戻る。いつの間にか目は閉じられていた。体をそっと撫でながらジェイの弱いところを探していく。耳の周り、首筋、脇。脇腹……腿。どこもかしこも触れば体がぴくぴく撥ねる。すぅっと胸へと下りていった。小さな飾りを、今まで誰にも触れられたことの無いそこを舌先でなぶる。もう片方の乳首を指先で軽く引っ掻く。

 ぅ ぅぅ はっ

 味わったことの無い愛撫に全てを素直に曝け出していくジェイの姿は、今まで見た誰よりも煽情的だった。

 そして自分の中に育っているこれは何なのだろう。今まで、セックスすることは、常に欲望の吐き出しだった。相手よりも自分が感じることが全てで、相手は自分のしている愛撫や挿入で勝手に快感を拾ってくれた。けれど、今、違うものを感じる。

 ジェイのこの寝乱れる姿を見ていたい。全部を味わいたい。感じさせてやりたい。そして大きな海の中に溺れさせてやりたい。

 2年前、アメリカへの2ヶ月の出張で蓮は取引先のパーティーに招待され、思ったよりも酔っ払ってしまった。パーティーが終わる頃には足取りが怪しくなり、たまたまそこに来ていた男性が送るからと車に乗せてくれた。
 確かに行き先を告げたはずだったが、目が覚めると知らない部屋だった。半裸の男は口も手も上手く、自分にはまだ酒が残っていた。なぜそれを受け入れたのかは今でも分からない。けれどそこには見たことの無い世界が広がっていた。一夜だけを共にしたが、イった数は覚えていないほどだった。それから2度ほどアメリカに行った時、その相手に連絡を取った。そしてそれ以降セックスをやめた。

 それでも、どうすれば感じるのか、どうすればイかせられるのか。肌が覚えている。久し振りのセックスはカラカラに渇いた喉が水を欲するように、蓮にも強い欲求をもたらしたが蓮はそれを抑え込んだ。まだ早すぎる、目の前の若者にそれを要求するのは。

 脇腹に口を這わせながら見上げれば、ジェイは開いた口で浅く息を継ぎながらゆっくりと頭を横に振っていた。時折りその顎が上に仰け反り、きれいな喉を見せる。

「ジェイ」

 呼ぶ声に目を開ける。見下ろせば蓮の目がしっかりと自分の目を掴んだ。

「気持ちがいいか?」

 夢見心地に頷いた。内腿を撫で上げられ股の付け根へと手が往復する。それだけで息が上がる。目を開けたり閉じたり。でも見下ろせば蓮の目がひたりと自分を見つめていた。

 足を広げられた。何が起きるのかなんて分かるはずもない。ただ広げられたことそのものに力の入らない内腿が震えた。間が空いて呼吸が落ち着いた。目を開ける。頭を軽く浮かせて蓮を見た。

「ジェイ もっと気持ちよくしてやる。全部俺に任せるんだ」

 意味も分からず蓮の口が開くのを見た。自分の昂ぶりが生温かいものに覆われた。大きく見開いた目が最後に見たのは上下に揺れる蓮の黒髪だった。

 頭がベッドに落ちた。声が上がるのに気づかない。蓮の頭を必死に突っ張っている自分の手に気づかない。恐ろしいほどの快感がジェイを襲う。手から力が抜けベッドに落ちた。

 っは! ああ  ぁああ……

自分のモノに絡みつく舌。上下している温もり。頭の芯が痺れる。全身が震える。舌が自分に入り込むかのように先端を撫でられ強く擦られた。

 あ、あ  はッ! あぁ ああああ!!!!

 追い上げられシーツを掴んだ、逃れられない波に逆らおうと。爪先が突っ張り下腹が激しく痙攣した。頭の中が真っ白になる、掴んでいたシーツが消えた。何かが弾け飛んであっという間に波に呑み込まれて行った……


 口の中で膨れ上がるのを感じ、蓮は口を離した。上に跳ね返ったジェイの高まりから白濁が飛び散る。大きく上下する胸。震える下肢。その全てが蓮を煽り立てた。自分のものを扱いて震えながら果てた。入るつもりは無い、まだその時では無い。

 どさっと自分の身をジェイの脇に投げ出した。まだ震えの止まらないジェイに、上体を起こして口付ける。ゆっくり動き回れば徐々にジェイの舌が応え始めた。擦り合わせる舌を吸い、唾液を啜り上げる。手を下に這わせればまた緩やかに勃ち始めた。

 手を離し、またジェイの隣に頭を落とす。天井を見上げ、目を閉じた。ジェイが身じろぎ始めたのを感じた。


 初めての大きな快感にジェイの心はまだ震えていた。生きてきてこれほどの衝撃を体に味わったことが無い。しばらくの間呆然としていた。その内に気が付いた。体が解放されている。隣を見た。蓮が目を閉じてそこに横たわっていた。

「蓮……眠ってるの? 蓮」

 声が掠れている。すぐに手が伸びてきて髪の間に指が潜った。

「起きてるよ、ジェイ。少しは落ち着いたか?」

 そう言われた途端に顔が熱くなった。正体を失くして、自分はどんな顔をしていたんだろう。行為の最中、自分はどうしてたんだろう。

「俺……変だったですか……?」
「何が?」
「だって……蓮、もう嫌そうに見える……」

 体をジェイに向けた。そうか、初めてだから不安なんだ。自分がどうだったか。

「きれいだったよ、お前、本当にきれいだった。どうしていいか分からないほど俺はお前に惚れてるよ」

 今度は別の意味でジェイの顔が熱くなった。逃げ出したい、何を言っていいか分からない……

「こっち来い」

 引き寄せられて蓮の胸に頬を当てた。蓮の鼓動が聞こえる。筋肉が発達していて締まった体。なぜかテーラーの牧野の言葉が浮かんだ。
『もう少し肉をつけないと』
――本当だ、固い
それがなぜか可笑しかった。体が少し揺れる。

「何、笑ってるんだよ。お前、色気無いぞ」
「だって、蓮、固い」

 自然、ジェイは蓮に甘えるような口調になっていた。

「ジェイ。俺、お前が欲しいんだ」

 上を見上げた。欲しい? どういう意味? しばらく待ったがその後が続かない。

「蓮? どういう意味?」

 女性とセックスしたことがあれば説明がしやすい。けれどジェイは何も知らない。どうすれば心にも体にも苦痛を与えずに思いを遂げられるだろう。

「分かってるだろうが男と女は体の構造が違う。自然は男女がセックスしやすいように人間の体を作ってる」

 なぜこんな説明をしているのか、蓮自身にもよく分かっていない。けれど大事な話だとどこかで納得をしている。言葉は途切れず続いた。こんな話は本当なら白けるだけだけれど。

「男女なら本能で何の知識も無くセックス出来るんだよ」
「でも、今」
「今のはセックスじゃない。俺はお前のマスターベーションを手伝っただけだ」

 あれは自慰だった? え? じゃ、セックスって? 混乱しているのが分かっているかのように腕の中にジェイを抱いて喋った。ジェイの両手は自分の胸との間に収まっている。まるで女の子のように。

「お前を俺のものにしたい。でも力づくにはしたくない。俺はお前を傷つけたくないんだ」

――俺のものにしたい 蓮はそう言った

 鼓動が駆け出しそうだ。誰かのものになる そう思うだけで安心感が湧いてくる。

「俺と蓮はどういう関係になるの?」

 見上げて来るジェイの額にキスを落とす。

「恋人だ」

 声が出ない、胸が一気に高鳴る、手が蓮の体に回って力が入った。

「いいのか? それで」

 頷いた。もう家族はいない。友だちもいない。けれど恋人が出来る。

「陽は当たらないぞ。誰もそんなこと認めちゃくれない。人前では他人でいなくちゃならない。俺とお前は上司と部下だ。他の者と選り分けてお前に接することは出来ない」

 分からせておかなければならない、ジェイの心を守るために。上司として叱責する時もあるだろう。ジェイより他の者を優先したり褒めたり。自分が以前と態度を変えるわけには行かない。だが、いつかきっとそれはジェイを大きく傷つける。そういうことにきっとジェイは耐えられない。

「俺は今までと同じでなくちゃならないんだ。お前、それに耐えられるか? 分かっておいてほしいんだ、俺にはお前が一番だ。けどそれを表に出すことは出来ない。辛いぞ、これから」

 こうなる前ならジェイには自分を守る外壁を自分で作ることが出来た。でももう、それはきっと出来ない。ジェイにはそれがまだ解っていない。

「蓮は……俺とのこと、困るって言ってるの?」
「違う。こんな話するのはお前が心配だからだ。お前が見かけ通り強いヤツならいいんだ。もしそうならこうはならなかっただろうけど。でもお前は」

 背中を撫でた。髪にキスをする。傷つけたくない、どんなことでも。

「お前は違うだろう? そういうんじゃない。自分を守るために一生懸命強い振りをしてきただけだ」

 お化け屋敷の中、『たすけて』と囁いた声を思い出す。自分と出会うまでの間、どれだけの数、それを心の中で言い続けてきたんだろう。

「だから俺はお前を守りたい。知っておいてほしいんだ、俺を信じていいんだってこと。例え何があろうと、俺が何を言おうと、お前は俺のものなんだ。お前が俺を必要とする限り」

 現実がどうなのか、ジェイには見当もつかなかった。男同士だ、人前で手を握ったり甘えたり抱きついたり出来ないことくらいは分かる。でも信じ合ってるなら何を辛く思うことがあるだろう。

「俺は……大丈夫だと思うんだけど」

 どうやったらこの若者を守って行けるだろう。こんな関係にしておきながら、今さらのように自分の取った行動が浅はかだったのではないかと思えて来る。もしかしたら自分は守るのではなく、真逆のことをジェイにしようとしているのではないのか?

「ジェイ。いいか、俺のことを信じろ。どんな時でも。俺を信じることがお前を守る。苦しかったら二人きりになった時に苦しいと言え。辛い、不安だ、寂しい、全部俺に正直に言え。ずっとお前を守りたいんだ」

「信じるよ。大丈夫だよ、そんなに心配しなくても大丈夫」

 蓮は腕の中にいる脆い青年を抱きしめた。何かあればきっと壊れてしまう……ジェイは強くなんかない……

「苦しい、蓮  俺、大丈夫だから」

 その体に覆いかぶさった。戸惑う唇を塞ぐ。僅かな回数のキスでもう感じることを覚えている。口の中を刺激すれば体が反応してくる。
 唇を離して髪をかき上げた。

「お前、キスに弱いんだな」

 赤くなったジェイに笑いかけ、また唇をそっと舐めた。もう胸が喘ぎ始める。感じやすい体は、そのままジェイの繊細な心を表わしていた。母が亡くなって、よくここまで生きて来れたものだ。どれだけ強固な壁を張り巡らしてきたのか。

「ジェイ、俺のものになるか? 本当のセックスをするか?」
「そしたら……ずっと一緒にいられる?」

 泣きたくなるほど悲しい問いだった。『置いてかないで』その声が響く。縋りつくようなその問いに誰がNoと言えるだろう。

「ああ。一緒にいる。お前を離さない」
「俺を……蓮のものにして」

 もう充分だった。自分にはもう不可能だ、ジェイを独りにするのは。

 抱きしめてまだ柔らかい唇を何度も貪り、首筋を舐め上げ手は体中をまさぐった。小さな喘ぎ声が耳を犯す。猛るものを強く扱けば先から透明な露が滴り落ちた。それを掬っては後ろへと運ぶ。何度も何度もそれを繰り返す。

 体中が感じ切っていて蓮のしていることが分からなかった。気づけば自分の全く別の場所が感じ始めていた。何度も後ろの孔が撫でられる。ただ撫でられるだけだ。けれど恥ずかしさとひっそり芽生えて来る小さな快感にどうしていいか分からずにいた。なぜそこを愛撫されるのかも知らない。

 

 蓮の指先が自分の先端をくるりと撫でていく。息が止まる。指が離れていく。慌てて息を吸い込み吐き出す。蓮の指が後ろの孔を刺激して、また息が止まる。
 けれど決定的な快感は来ない、ただ快感の縁を蓮の指が撫でていく。その繰り返す往復でジェイは心の中で叫び始めていた。

――イきたい イきたい イきたい!!

「れん、もう……」
「だめだ、まだ我慢しろ」

 足を広げられ、膝を立てられた。期待に膝が震える。指がもっと潜り始める。 うっ! と力が入る。

「ジェイ、力を抜くんだ。大丈夫だ、無理なことはしないから」

 内腿を撫でながら、小さく前を扱きながら、徐々にジェイの窄まりの中へと指が進んで行く。閉ざされた固いその中を急ぐこともせずにやんわりと解していく。
 まだはっきりとした快感になるわけがない、異物感しか感じないだろう。だからそっと中を撫で回した。穏やかな動きに少しずつ力が抜けていく。進みやすくなった指が中を広げるように回りながら奥へと入っていった。

 出ては入り、出ては入り。前の雫を指先に掬ってはまた潜り。浅い息が辛そうで、蓮はジェイを咥えた。途端にジェイの体が跳ね上がる。空いている手でその腹を優しく撫でた。

 口が上下するたびに小さく撥ねるその反動を利用して、指をさらに奥へと入れていく。蓮はそれ以上進むのを止めた。そこから入り口の間を何度も何度も撫でる。まるで感じているかのように肉が指にまとわりついてくる。動きに合わせて腰が蠢く。繰り返す動きに突然腰が大きく震えた。中がぎゅっと指に食らいついてくる。

――この辺りか?

そこを擦り上げた途端に声が漏れた。

 あ! や、やめ……! ああ やだ、そこ……あふっ……

やめてくれという、その場所を擦り続けた。

 はぁ、ぁ や……ぅぁ……

次第に声が細り大きく体が仰け反り一気に体が弛緩した。ジェイは達していた。我慢させられていた分、その快感は激しかったのだろう、止まらない痙攣に蓮は優しく体に唇を這わせていく。射精で精も根も尽き果てたようにぐったりした体に痙攣が走り続ける。

 蓮は力が完全に抜けきった後ろに自分を当てがった。小さい動きでそっと先を入れて行く。まだまだそこは固くて道は狭い。
 入りきる気は無い、ほんの先だけ。これはマーキングと一緒だ。二人が繋がった証が欲しかった。ここに最初に当てがったのは自分だと言う証が。迎え入れはしないそこを何度か自分の昂ぶりで撫でる。急激に蓮にも射精感が訪れた。
 目の前にぐったりしている美しい青年に、自分のものが侵入しようとしている。そう思うだけで狂おしいほどの快感が突き上げて来る。後は本能に任せ快感に身を委ねた。